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世界規模で脱プラスチックの動きが加速している近年、プラスチックを取り巻く環境が大きく変化しています。日本では、2020年7月からレジ袋の有料化が始まり、2022年4月からは「プラスチック資源循環促進法」が施行されるなど、私たちの生活にも大きな影響が及んでおり、関心が高まっています。 今回の記事では、そもそもプラスチックができるまでの工程から始まり、プラスチックごみやリサイクルの現状と世界各国の取り組み、そして「脱プラスチック」の取り組みの一環として注目されるプラスチック代替素材について解説していきます。 生活に身近なプラスチックと深刻化する問題私たちの生活に欠かせないプラスチックですが、そもそもプラスチックがどうやって作られているのか知っていますか?そして、なぜプラスチックが問題になっているのでしょうか? プラスチックができるまでプラスチックの主な原料は石油です。 <原油からナフサまで> 日本では、原油から精製したナフサだけでは足りないため、ナフサも輸入しています。この輸入ナフサと原油を合わせた量のうち、プラスチックの生産に使われるのは約6%です。 <ナフサからペレットまで> これらのプラスチック原料に、柔軟性を高める可塑剤、劣化を防ぐ安定剤、着色剤などの添加剤を加えたものを「ペレット」といいます。ペレットは小さな粒で、このペレットからいろいろな形のプラスチック製品ができるのです。 なぜプラスチックが問題なのか?プラスチックは軽くて簡単に加工ができるため、プラスチック製品の利用は急速に普及し、私たちの生活には欠かせない存在になっています。しかし、世界中で「プラスチック問題」が深刻になっています。「プラスチック問題」には、以下のようなものがあります。
これらの中でも、特に近年問題視されているのが「海洋汚染問題」です。 深刻化するプラスチックごみ問題世界のプラスチックの年間生産量は過去50年間で20倍にも拡大しており、その年間生産量は約3.8億トンで、これは全人類の体重に匹敵する重量です。そのうち800万トンは陸地から海へ流出しており、2015年には1億5千万トンが海にあると推定されています。このまま何も手を打たなければ、2050年には海の中のプラスチックごみの量は、海の魚の全重量を超えると推測されています。 日本におけるプラスチックごみの排出量は約850万トン(2019年)、ひとりあたりに換算すると年間32kgをごみとして排出しており、アメリカに次いで世界第2位の多さです。またごみとして回収されたプラスチック類の内訳は容器包装が全体の67.6%を占め、ストローなどの容器包装以外のプラスチック類は16.2%、ペットボトルは14.4%になっています。 プラスチックのリサイクルの現状プラスチックごみのうち包装容器が半分以上の割合を占めていることから、これを資源として再利用するために日本では「容器包装リサイクル法」が制定され、1997年4月から施行されています。 これによって、ごみ分別の厳格化や技術開発が進み、新しいリサイクル方法やリサイクル製品も次々と生まれたことから、2012年には日本のリサイクル率は80%を超え、それ以降も高水準を維持しています。 プラスチックのリサイクル方法プラスチックのリサイクル方法は、以下の3つに大きく分けられます。 1.
マテリアルリサイクル それぞれのリサイクル方法について、詳しく解説していきます。
日本のプラスチックリサイクルの現状2019年における日本の廃プラスチックの有効利用率は85%で、3つのリサイクル方法の割合は、マテリアルリサイクルが22%、ケミカルリサイクルが3%、サーマルリサイクルが60%となってます。 実は、日本は2012年以降、プラスチックのリサイクル率は80%以上を維持しており、数字だけをみれば、日本はリサイクル率が高く、環境対策が進んでいると思うかもしれません。 実際、海外にはサーマルリサイクルという言葉はなく、「エネルギー回収」や「熱回収」と呼ばれているため、欧米をはじめ海外の多くの国や地域では、サーマルリサイクルを「リサイクルの一種」として認めていません。海外でのリサイクルの主流は、マテリアルリサイクルや、ちゃんとモノに生まれ変わるケミカルリサイクルなのです。 サーマルリサイクルを除いた2018年の日本のリサイクル率は19.6%で、同年のヨーロッパ諸国と比較すると、ノルウェーがいちばん高く約45%、スペインが約40%と続き、日本は相当低い水準にあることがわかります。つまり、日本のプラスチックリサイクルの実態は、ほとんど焼却しているだけということです。 そして、日本のリサイクル率19.6%のうち、ほとんどは中国や東南アジアなどに輸出し、輸出先でリサイクルをしており、実質的な日本国内でのリサイクル率は1割に満たないのです。 海外頼みのリサイクルと行き場を失う廃プラスチック日本は世界第3位の廃プラスチック輸出大国で、2017年の日本の廃プラスチックの輸出量は143万トンでした。それまでは、日本の廃プラスチックの主な輸出先は中国で、年間輸出量の約半分を輸出していましたが、2017年12月末、中国は生活由来の廃プラスチックの輸入禁止に踏み切り、それ以降、中国への輸出はほとんどなくなりました。 中国の廃プラスチック輸入規制日本は2011年以降、廃プラスチックの半分以上を中国へ輸出する状況が続いていました。 経済的に貧しかった中国では、石油を輸入してプラスチック製品を作るよりも廃プラスチックを輸入してリサイクルするほうが安上がりだったからです。海外から輸入されたペットボトルは、中国国内でぬいぐるみやベッドの中綿などにリサイクルされてきました。 また、輸入した廃プラスチックのなかには資源化できないもの(汚れていたり、選別が不十分)が含まれていたり、有害物資などが混入しているケースがあり、そのような資源化できない廃プラスチックや有害物質が不法投棄されるなど環境問題が生じていました。 日本の廃プラスチックは中国から東南アジアへ2017年12月末から、中国が廃プラスチックの輸入を禁止したことで、日本やヨーロッパをはじめとした国々は廃プラスチックの新たな輸出先を検討せざるを得なくなり、その結果、東南アジアや台湾向けの輸出が急増しました。2018年上半期の相手国・地域別の輸出量は、タイが14万トン、マレーシアが11万トン、ベトナムが9万トン、台湾が8万トンで、いずれも前年同期の2倍以上の輸出量となり、これら4カ国・地域への輸出は、2018年上半期の日本の廃プラスチック輸出量の約80%を占めました。しかし、いずれの国・地域も同年7月以降、廃プラスチックの輸入基準を厳格化したため輸出量は減少し、受入拒否も相次いでいます。今後、中国に代わる廃プラスチックの輸出先が現れる可能性はほとんどなく、日本の廃プラスチックは行き場を失いつつあります。 バーゼル法の改正1989年3月、スイスのバーゼルにおいて「バーゼル条約」が採択され、1992年5月5日に発効されました。バーゼル条約とは、国境を越えたごみの処理に関する条約のことで、欧米の先進国からの廃棄物が発展途上国に放置され環境汚染が生じているなどの問題を受けて作成されました。 法改正以前は、廃プラスチックは規制の対象外でしたが、改正後は、リサイクルに適したきれいなプラスチックごみの範囲を明確化し、基準に合わない廃プラスチックは「規制対象」とし、輸出する前に輸入国の同意が必要となりました。 プラスチックごみ問題への取り組みわたしたちの身の回りにあるさまざまなモノに使用されているプラスチックですが、プラスチックごみによる環境汚染や諸外国の廃プラスチック輸入規制強化への対応を契機に、プラスチックの資源循環に向けた取り組みが重要視されています。ここからは、日本や世界の主な取り組みについて詳しく解説していきます。 日本の取り組み2019年5月、「プラスチック資源循環戦略」と「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」が策定され、具体的な戦略と目標値を示しています。 「プラスチック資源循環戦略」 また下記のような具体的な数値目標を立てています。 <リデュース> <リユース・リサイクル> <再生利用・バイオマスプラスチック> 「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」 具体的には、 プラスチック資源循環促進法日本では2022年4月1日から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、略して「プラスチック資源循環促進法」または「プラスチック新法」が施行されています。 これまでも日本はプラスチックのリサイクルに取り組んできており、さまざまな法律も存在していました。しかしそれらは「容器包装リサイクル法」や「家電リサイクル法」など、それぞれの製品に焦点を当てたものであり、すでにある製品が廃棄されたあと、どのようにリサイクル(=再活用)するかという点に目を向けていました。 しかし、プラスチック資源循環促進法では、「そもそもごみを出さないように設計する」というサーキュラーエコノミー(循環経済)の考えが取り入れられており、基本原則として3R(リデュース・リユース・リサイクル)+「リニューアブル(再生可能)」を掲げています。 世界の取り組み世界では、日本よりも早くプラスチック製品の使用禁止が行われています。 アメリカでは、プラスチックストロー・マドラーの使用禁止や再生プラスチック比率記載が義務付けられています。また、マイクロプラスチックのひとつである「マイクロビーズ」を削減するため、これを含む洗顔料や歯磨き粉の製造・販売が禁止されています。 プラスチック代替素材の紹介2021年1月以降、バーゼル法改正によって「リサイクルに適さない汚れたプラスチックごみ」が規制対象に加わったことで、世界では脱プラスチックへの取り組みが一層強まっています。 サトウキビの搾りカス「バガス」バガスは、サトウキビを搾ったときに出る残りカスです。世界中で年間約12億トン生産されるサトウキビから、約1億tのバガスが発生します。バガスは、砂糖を作る際の燃料などに使われていますが、使い切れない分は破棄されているのが現状です。そんなバガスを貴重なバイオマス資源として活用しようとする動きが広がっています。 ここで、バガスを使用したおすすめの容器を紹介します。 ABランチ230-230白色のバガスと竹をミックスした素材を使用したエコ容器です。竹は成長が早く、持続可能(サステナブル)な素材として注目されています。色が白いのが特徴で、和洋中どんなメニューにも使え、料理が映えます。機能面では、耐油・耐水性があり、電子レンジも対応可なので、幅広いメニューのテイクアウト容器におすすめです。 高密度厚紙「エリプラペーパー」大王製紙株式会社が開発した、紙製ナイフやマドラーなどの原紙として必要な剛性を持つ高密度厚紙「エリプラペーパー」は地球環境に配慮した製品として「Eliminate Plastic(脱プラスチック)」頭文字を冠した名称です。 「食品衛生法に基づく食品、添加物等の規格基準に適合」「蛍光染料の溶出がなく食品用一次容器として使用可能」など、食べ物に使用する道具として安心なこともメリットです。 ここでは、エリプラペーパーを使用したおすすめのカトラリーを紹介します。 エリプラペーパー カトラリー 紙マドラー140mm 白 EPカトラリーの中でも、マドラーは比較的手頃な価格帯なので、プラスチックからの切り替えもしやすい商品です。シンプルな形状で使いやすく、カフェの備品や自宅でのおもてなし、職場など、さまざまなシーンで活躍します。 紙パウダー混成の「MAPKA(マプカ)」株式会社環境経営総合研究所が開発したのが、プラスチック原料に繊細な紙パウダーを混成させた新素材「MAPKA(マプカ)」です。MAPKAの主原料はあくまで「紙」で、世界でも類を見ない、MADE IN JAPANの新素材として“ポストプラスチック原料”と呼ばれるほどに注目されています。 MAPKAは高い剛性・耐熱性、低い伸縮性を有することから、さまざまな用途でプラスチックからの置き換えることができます。プラスチック使用量削減とともに、同形状のプラスチック成形品と比較して、パッケージ由来のCO2排出量は約35%削減が可能となります。さらに紙パウダーを51%含むため、バイオマスマークの付与も可能で、見た目や触り心地が紙素材のもつ風合いと近しいため、消費者への環境配慮訴求にも有効です。 またプラスチックを主原料とする製品の大半はナフサ原料から精製されていますが、供給に限りがあるナフサ原料の価格は高騰しており、価格競争力が求められる製品ではリスクが高くなっていると言えます。一方、MAPKAなら使用する紙パウダー量をコントロールすることで、ある程度のコストコントロールができ、価格面でのリスク回避も可能となります。 ここでは、MAPKAを使ったおすすめの容器を紹介します。 MPK街デリ BOX20-19Y OW容器の裏面には、バイオマス原料の範囲が全体の50~54%を占めることを指す「バイオマスマーク50」が刻印されているため、店舗のイメージアップにつながります。容器は本体と蓋と一体型のため在庫管理が簡単、また蓋はミシン目で切り離すこともできるので、使用用途の幅も広がります。フタはつまみ付きなので、開閉も簡単です。仕切があり、耐油・耐水素材なので、揚げ物や麺類などのメニューをきれいに盛り付けできます。電子レンジにも対応可です。 石から生まれた「LIMEX(ライメックス)」株式会社TBMが開発した新素材が「LIMEX(ライメックス)」は石灰石を主原料としています。石灰石は世界にほぼ無尽蔵に存在しており、日本においても自給率100%を超え、安価で入手可能な鉱物資源です。LIMEXの特徴として、以下のような特徴があります。 1.水と木をほぼ使わない 2.高耐久性、高耐水性 ここでは、LIMEXを使用したおすすめの商品を紹介します。 DIW-209DPLIMEX紙コップよりも製造工程における水と木の使用量を、プラスチックよりも石油由来樹脂の使用量を大幅に削減できるので、地球環境に配慮したカップです。「このコップは石灰石から生まれた新素材LIMEXでつくられています」の印刷入りなので、企業や店舗のイメージアップにも繋がります。 トウモロコシでんぷん配合の「ReseamST(レジームST)」株式会社コバヤシが開発した「ReseamST(レジームST)」は石油系材料の使用削減を目的とし、工業用に栽培されたトウモロコシのでんぷんを汎用樹脂に配合したバイオマス素材です。バイオマス素材を60%以上配合することも可能で、環境に優しい素材です。 ここで、ReseamSTを使用したおすすめの商品を紹介します。 エコデリ簡単につぶしたり手で破くことができ、手で小さく丸めて捨てられるため、ゴミの減容化に貢献します。手で破いたときの断面はプラスチック特有の鋭い断面ではなく、柔らかな質感のため、使う人にやさしい容器です。またトウモロコシ由来のでんぷん粒子によって、表面はマットで落ち着いた風合いとなり、プラスチックよりも紙に近い質感になっています。 脱プラの動きはさらに加速し、代替素材への転換も拡大化今回はプラスチックごみやリサイクルの現状と世界の動向、プラスチック代替素材について紹介をしました。日常生活のなかでも、プラスチックに関するニュースや記事などに触れる機会が多くなり、環境問題への関心も高まっていますが、プラスチックを取り巻く環境は日々めまぐるしく変化しています。プラスチックは生活に欠かせないものだからこそ、私たちへの影響も決して少なくありません。 欧州のリサイクル率は?だが、EU内のリサイクル率の平均値は41%と、2030年目標値の55%はおろか2025年目標値の50%にも遠く及ばず、さらなるマテリアルリサイクルを促進する取り組みが求められている。
アメリカのリサイクル率は?アメリカでは年間約2億5000万トンの一般廃棄物が発生しており、リサイクル率は現在約35%である。 リサイクルは貴重な資源の保全やエネルギー節約のほか、温室効果ガス排出削減、環境関連の雇用創出にもつながっている。
外国のリサイクル率は?
欧州のペットボトルリサイクル率は?欧州は57.5%(2019年度)、米国は26.6%(2020年度)に留まるなか、日本の回収率は96.7%(2020年度)と世界トップクラスを誇る。
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