トラックと乗用車による追突事故が発生した際に、被害を最小限に抑える効果のある「車両突入防止装置」。
この装置はトラックの総重量や下縁の高さによって義務づけられています。
今回は、この車両突入防止装置について紹介していきます。
突入防止装置とは?
トラックと乗用車が追突事故を起こした場合、とくに乗用車側は大きなダメージを受けてしまう可能性があります。
事故を起こさないことが一番ですが、どんなに注意していても事故を避けられない場合もあります。
そんなときに、できるだけ被害を最小限に食い止めるために設けられているのがトラックの車両突入防止装置です。
トラックの後方下部に備え付けられているバンパー状の装置を指します。
車高の高い車に目掛けて後方から車両が突っ込んできた場合、もし何もなければそのまま前方の車の下に潜り込んでしまう恐れがあります。
そうなってしまうと、突っ込んだ車両がトラックの下で大きく破損してしまうことは想像に難くありません。
人命を少しでも損なわずに済ませるために、一定の保安基準によって車両突入防止装置を取り付けなければならない車両が決められているのです。
トラックの事故率
警察庁「交通事故統計(令和2年6月末)」によると、平成28年から令和2年までのトラックが第1当事者となる死亡事故件数は非常に多いです。
運送業務に従事するトラックドライバーは、乗用車などの一般ドライバーよりも走行距離・時間ともに多いため、事故発生リスクが高くなります。
たとえ事故が起こってしまっても被害を少なくするために、車両投入防止装置をしっかりと設置しておくことが大切です。
どんなトラック車両に取り付け義務があるの?
貨物車両と乗用車を対象に構造上潜り込みの可能性がある自動車には、国土交通省によってトラックの車両突入防止装置の取り付け義務が定められています。
<車両総重量7t以上>
空車状態での車両後方の下縁の高さが550mmより高い場合
→両後輪タイヤの外側からみて10cm以内の長さ&縦幅が10cm以上となるような突入防止装置の取り付けが必要
<車両総重量3.5t~7t未満>
空車状態での車両後方の下縁の高さが600mmより高い場合
→車幅の60%以上の長さ&縦幅が10cm以上となるような突入防止装置の取り付けが必要
<車両総重量3.5t未満>
空車状態での車両後方の下縁の高さが700mmより高い場合
→車幅の60%以上の長さで、かつ形状が突入を防止できるような突入防止装置の取り付けが必要
しっかり基準を守って、事故防止に努めましょう。
まとめ
車両突入防止装置はただ取り付けるだけでなく、保安基準を満たしたものを取り付ける必要があります。
この保安基準は、事故で傷つく人を少しでも減らすために設けられているものであり、それゆえに必ず守らなければなりません。
犠牲者をなるべく出さないためには、必要なことなのです。
とはいえ、「車両突入防止装置を付けているから安心してよい」かといえば、そうでもありません。
根本的には、そもそも事故が発生しないことが一番なのです。
ある意味では、安全運転に勝る安全対策はありません。
ひとりひとりの危機意識と細かな心配りがあれば、それだけで防ぐことのできる事故は多いはずです。
明日を笑って迎えるためにも、安全運転を心掛けましょう。
2021年9月以降製作車の突入防止案件対応のサスペンションキット
実はかなり前にスプリングの量産品が完成して販売可能となっていたのですが、
なかなか告知ができなくて、、、
小難しい話なので、商品説明の記事を書くのがなかなか億劫になってしまい、今に至ります。
商品説明に入る前に、この法改正についておさらいします。
ネット界隈ではこの問題についてああでもないこうでもないと話が二転三転してまして、
(各ジムニーショップさんがYOUTUBEで色々解説してくれるやつね)
実は今まで私が書いた内容にも間違いがあったようです。
正直、自分もそういった情報をそのまま鵜呑みにしてしまっていた訳でして、
やはりきちんと自分で精査しなければ駄目だなと反省しております。
NALTEC 独立行政法人 自動車技術総合機構のホームページ内で審査事務規程が公開されています。
7-37 8-37 突入防止装置
クリックするとpdfファイルを閲覧できると思います。
こういった条文を読むたびに思うんですけど、
文章が非常に難解で分かりづらい!
これだから各ショップさん(うちも含めて)が誤って解釈してしまうし、
検査員によって見解が異なるというあってはならない事態が発生してしまうのも無理がありません。
もうちょっとなんとかならないものでしょうか?
全文を理解しようとすると大型トラックなども含んでいて大変なことになるので、
我々に直接関係があるであろう、軽~普通車に関わる部分を要約したいと思います。
まず対象車ですが、
2021年(令和3年)9月1日以降製作の車です。
登録ではなく製作です。完成検査証の日付が基準となります。
7-37-1(2)
自動車(総重量3.5t以下)は、
モノコック構造の車体の後面、車体後面のその他のその他の後面の構造部が
(2)の①~⑤ または(1)の①~③の要件に適合すること
とあります。
まず、
(2)の①~⑤
① 後軸車輪の最外縁から内側100㎜以内
② 200㎜以上の隙間が無い
③ 空車状態で下縁が地上から550㎜以下
④ 地上1500㎜以下にある他の部分の後端(スペアタイヤブラケットなど)との水平距離が450㎜以下
⑤ 衝撃、振動等によりゆるみ等を生じないもの
モノコック構造の車体を有する自動車(指定自動車等)で、リヤバンパーも突入防止の構造物として申請してある車は、
バンパー下縁が地上から550㎜以下 と解釈してもらえればよいと思います。
次に、
(1)の①~③
① 当該自動車の幅の 60%以上
② 車体後面の構造部における下縁の高さが、空車状態において地上 600㎜以下
(車両総重量が 8t 以下の自動車でオーバーハングが1,500m 以下の車輌)
③ 地上 1,500mm 以下にある他の部分の後端との水平距離が 450mm 以下
モノコック構造の車体の後面(いわゆるバックパネル、リヤパネルなど)、フレームのリヤメンバーなどがこれに該当し、
地上から600㎜以下にする必要があります。
※この文章内のモノコック構造とは、ボディーの構造のことを指しています。
モノコックフレーム、ラダーフレームの違いは関係ありません。
ジムニー JB64 ジムニーシエラ JB74 に関しては、メーカーが型式指定を受ける際にリヤバンパーも突入防止装置の一部として申請されているようなので、
(2)の①~⑤の条件に当てはめれば純正バンパー下縁が550㎜以下であればOKとなります。
具体的なリフト量でいくと、3インチアップくらいまでは大丈夫そうです。
問題になるのは、SCMバンパーのようなショートタイプの社外バンパーの場合。
SCMバンパー、3㎝(1.18インチ)リフトアップ、225/75R16タイヤで実測63㎝ほどでしたので、
この時点でアウトです。
(2)の①~⑤、(1)の①~③のいずれの条件も満たしません。
タイヤをノーマルにすればギリギリいけそうですが、2インチ以上は無理でしょうね。
純正バンパーのように縦幅がある社外バンパーも存在しますが、
社外バンパーを突入防止構造物とみなすかどうかは、微妙なところです。
7-37-2-2 書面等による審査 の中で
(2)次に掲げる突入防止装置であって、その機能を損なう改造、損傷等のないものは、(1)の基準に適合するものとする。
① 指定自動車等に備えられている突入防止装置と同一の構造を有し、かつ、同一の位置又はそれより後方に備えられた突入防止装置
とあります。
指定自動車とは、メーカーが型式指定番号を取得した量産車。
それと同じ構造、つまり純正バンパーと同じ構造を有していればOKだよ、という意味ですが、
社外バンパーを純正バンパーと同一の構造とみなすかは疑問です。
形状も素材も違いますので。
NET界ではショップさんが陸運支局に社外バンパーでもOKと確認した、という話もありますが、
それこそ曖昧な文面なので支局や検査員ごとに判断が分かれるといった事態が想定されます。
ですので、社外バンパーの場合はどんな形状でも(1)の①~③ 600㎜以下の条件で考えたほうが無難でしょう。
長くなりましたが、ジムニー関連に限った話で超簡単に要約すると
純正バンパー装着車であればバンパー下縁が地上55㎝以下
社外バンパーの場合は構造物(メンバーやバックパネル)が地上60㎝以下
でOKだと思います。
でも何故このような法が今更新設されたのか。
疑問に思いません?
車高が高い車に低い車が追突して潜り込む事故が多発して危ない!
というのであれば仕方ないですが、
そういった事例はあまり聞かないですよね?
そもそも昔からトラックには突入防止装置は存在してましたし、
乗用車のリフトアップ程度であればオーバーハングが短いので
せいぜいリヤタイヤや車軸に当って終わりです。
ここから先は完全に憶測ですけど、
車高が極端に高い車は自動運転化を推進するにあたって邪魔な存在なのでは?
と。
車高が高い=センサーが感知しない空白の範囲が増える=自動運転が上手くいかない
深読みし過ぎですかね?
商品紹介までしたかったのですが、あまりに長くなってしまったので今回はここまで。
商品説明は次回をお待ちください。