盛り上がったほくろ なぜ?

ほくろの治療法【治療法の選び方】

「ほくろ」のことを医学用語では「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と言います。ほくろは、メラニン色素を産生するメラニン細胞が変化した「母斑細胞(ぼはんさいぼう)」の増殖による皮膚良性腫瘍の一種です。
一言で「ほくろ」といっても、いろいろなタイプのものが存在します。また、ほくろと似た症状を呈する悪性腫瘍も存在しますので、そのような病気を見落とさないことが大切です。

ほくろには色々なバリエーションがあります。

患者様から「イボができました」とか「このシミは取れますか」と相談を受けた時に、「これは、ほくろですね。」とお話しすると、「これがほくろなんですか?ほくろには見えないんですけど…」という反応をされる場合があります。その位、一般的なほくろのイメージからはかけ離れた症状のほくろも存在するのです。

以下に、さまざまなほくろの症状やほくろと似た他の腫瘍、ほくろの診断にたいへん有用なダーモスコピー、ほくろの治療法などについてまとめました。

• 一般的なほくろ(母斑細胞母斑)
o 黒くて隆起したほくろ
o 黒くて平坦なほくろ
o 顔面にたくさんできてくるほくろ
o 太くて長い毛が生えてくるほくろ
o 肌色で隆起したほくろ
o 頭皮にできるほくろ
o くちびるのほくろ
• 特殊なほくろ
o 生まれつきある大きなほくろ(黒アザ、先天性色素性母斑)
o 爪の根元にできたほくろ(爪甲線条母斑)
o サットン母斑
o スピッツ母斑
o 青色母斑
• ほくろと似た他の腫瘍
o 黒い色をした腫瘍
・脂漏性角化症(SK)
・基底細胞上皮腫(BCC)
・悪性黒色腫(メラノーマ)
o 肌色~薄茶色の腫瘍
・軟性線維腫
・神経線維腫
• ダーモスコピーについて
• ほくろの治療法【選び方】
• ほくろの治療法【治療法の説明】
以下にタイプ別の説明を加えます。

一般的なほくろ(母斑細胞母斑)

ほくろは母斑細胞の存在する深さや、増殖の程度、メラニン色素産生の有無などによって、さまざまな症状を呈します。

母斑細胞の存在する深さによるほくろの分類

境界母斑
母斑細胞は表皮と真皮の境界部分に限局して存在します。メラニン色素の産生が盛んで、黒くて平坦なほくろに見えます。

複合母斑
母斑細胞は表皮・真皮境界部分から真皮の浅い部分にかけて存在します。メラニン色素の産生も盛んで、黒または茶色で隆起したほくろに見えます。

真皮内母斑
母斑細胞は真皮内にのみ存在します。メラニン色素の産生は乏しく、肌色または薄茶色、あるいは灰色の隆起したほくろに見えます。

黒くて隆起したほくろ

黒くて平坦なほくろ

顔面にたくさんできてくるほくろ 

太くて長い毛が生えてくるほくろ 

頭皮にできるほくろ

頭皮にできるほくろ

くちびるのほくろ 

特殊なほくろ

皆様が一般的にイメージするようなほくろとは異なる症状のものをまとめました。

生まれつきある大きなほくろ(黒アザ、先天性色素性母斑)
生まれつきのほくろは大型のものが多く、その部分に剛毛が生えてくることもあります。ほくろと言うよりは「黒アザ」と言う呼び方の方がイメージに合うかもしれません。
中には直径が20cmを超えるような大型の物もあり、巨大先天性色素性母斑と呼ばれます。巨大色素性母斑には将来数%の確率で悪性黒色腫(ほくろの癌)を生じてくることが分かっていますので、そうなる前に手術によって除去する場合があります。

爪の根元にできたほくろ(爪甲線条母斑)
爪の根元にほくろができると、その部分の爪に縦の黒い線(黒色線条)が生じてきます。
ほとんどの場合は良性のほくろですが、稀に悪性黒色腫である場合もあります。次の項目に当てはまる場合には、一度皮膚科専門医の 診断をお受けいただいた方が良いと思います。
o 色が真っ黒
o 色の濃淡が目立つ
o 黒い帯の幅が6mmを超える太いものである
o 色の濃さが左右非対称
o 爪の変形を伴う
o 爪の周りに黒い色の染み出しがある

サットン母斑
黒い色をしたほくろの周囲が、白く色が抜けた状態になっているもの。

スピッツ母斑
良性のほくろ(複合母斑)の一種ですが、短期間で大きく成長することから悪性黒色腫との鑑別が重要です。
スピッツ母斑は、比較的若い人に生じること、顔面にできやすいこと、短期間で成長しますが直径1cm程度で成長は止まり、徐々に自然消退することもあること、などが特徴です。
悪性黒色腫と鑑別するために、手術により摘出して病理診断を行う場合もあります。

青色母斑
真皮内でメラニン細胞が増殖している状態で、通常のほくろよりも色が青黒く見えます。
幼少期に出現して、ゆっくりと大きくなります。
通常は直径1cm以下の小さなしこりとしてできてきますが、まれに1cmを超える大きなものもあります。
真皮内でメラニン細胞が塊を作って増殖していますので、このほくろに対するレーザー治療はあまり効果が期待できません。

ほくろと似た他の腫瘍

これまでに示したさまざまなタイプほくろと、似た症状を呈する他の腫瘍(良性および悪性)を示します。

中には悪性の腫瘍もあって、放置すると内蔵移転を生じて手遅れになってしまう病気も含まれます。心配に思えるほくろがある方、皮膚科専門医の診断をお受けください。

黒い色をした腫瘍

脂漏性角化症(SK)
老人性疣贅ともいいます。シミが厚みを増して盛り上がってきたような症状を呈します。
詳しい説明はこちらをご覧ください。 → 「一言でシミといっても…」

基底細胞上皮腫(BCC)

高齢者に多い、皮膚悪性腫瘍(皮膚癌)の一種です。黒い色をしているので初期にはホクロと間違われることがありますが、放置すると大きくなり、中央部がくずれてきます。内臓に転移することは稀ですが、皮下脂肪の少ない顔面などに生じると深く進行し骨をくずしてしまう事もあります。手術によって、取り残しが無いように完全に切除する必要があります。

悪性黒色腫(メラノーマ)

いわゆる「ほくろの癌」のことです。皮膚の悪性腫瘍の中でも特に悪性度が高く、進行すると内蔵転移を生じて手遅れになってしまうこともあります。このような病気はできるだけ早期に発見して、手術によって完全に摘出してしまうことが大事です。

日本人の場合、手足などの末端部分に生じることが多いので、手の平や足の裏、手の指、足の指(爪を含む)などにできたほくろには注意が必要です。手足にできたほくろがすべて癌というわけではありませんが、大きなほくろや、急にできてきたほくろの場合には、一度皮膚科専門医の診断を受けましょう。

その他の部位のほくろでも、次のような症状がある場合には悪性黒色腫の疑いがあります。
o 形が歪(左右不対称)
o 周囲との境界がぼやけていてはっきりしない
o 多彩な色調を呈する(黒を基調としていても、青、白、灰色、茶色などを混じる)
o 大きさが6mmを超える
o 表面が隆起している
心配なほくろがある場合には、皮膚科専門医を受診して下さい。多くの場合にはメスで切らなくてもダーモスコピー検査で診断できます。

肌色~薄茶色の腫瘍

軟性線維腫

肌色をしていて、皮膚から突出した柔らかいしこりです。体幹(胴体)部分に生じることが多く、成人以降では比較的ポピュラーな皮膚良性腫瘍の一種です。加齢変化と考えられています。

肩にできた軟性線維腫

神経線維腫

肌色~淡紅色で、半球状に皮膚から隆起した柔らかいしこりです。末梢神経に生じた良性腫瘍です。

ダーモスコピーについて

ダーモスコピーとは、強力な光源を有するルーペの一種で、反射ありと反射なしを切り替えることによって、皮膚の表面の性状観察と真皮の浅い部分までの性状観察を行うことができる検査機器です。あらゆる皮膚疾患の診断に役立ちますが、特にほくろと他の皮膚腫瘍との鑑別においては強力な助けとなります。

ほくろのダーモスコピー像
ハンディータイプのダーモスコピーです。

直径2mmの平坦なほくろです。肉眼的にはのっぺりと黒いだけですが、拡大すると色素のネットワークがはっきりと見えます。

ほくろの治療法【選び方】

ほくろの治療法【治療法の説明】

では、ほくろを除去するにはどうしたらよいのでしょうか?
美容外科に通い慣れている方や情報収集されている方がよくご存じのように、小さなほくろはレーザーを用いて除去するのが一般的です。

・CO2ガスレーザー
CO2レーザーは炭酸ガスレーザーとも呼ばれます。赤外線の波長の光を皮膚に当てることで皮膚内の水分に熱エネルギーを生じさせ、一瞬でレーザー照射を受けていた患部が蒸散するという仕組みです。熱の力で表面が固まるため、出血もなく短時間で処置が終わるのが特徴。
しみやそばかす、いぼ、にきび、小さいほくろに用いられます。

・QスイッチYAGレーザー
QスイッチYAGレーザーはメラニン色素によく吸収されるように設計されています。メラニン色素を過度に刺激しない出力の小さなレーザーであるため、レーザー照射によりかえって活性化する懸念のあった肝斑にも使用できるという利点があります。
肝斑のほかにも、しみやそばかす、くすみ、タトゥーやアートメイクの除去にも用いられます。

このようなレーザーは出血が少なく短時間で処置できるという大きなメリットがある一方で、深い位置にある母斑細胞母斑を扱いにくいというデメリットがあります。

複合母斑や真皮内母斑のように肌の深い位置に達するタイプの大きなほくろは、その「根」にあたる母斑細胞まで除去する必要があります。もしこのような深部に達する母斑細胞母斑をレーザーで処置するとなると、深い部分がごく小さい範囲に収まるものだったとしても、深い位置まで取り去る必要から何度もレーザーを照射する必要があり、必要以上に侵襲的な手術をすることになってしまいます。
また、侵襲性に配慮して回数を減らしてしまうと、取り残した母斑細胞が増殖して、またほくろが盛り上がってくる恐れがあります。

このため、複合母斑や真皮内母斑といった大きなほくろを除去する際には、メスを使い医療用の糸で縫合する「切縫法(せっぽうほう)」をとります。
再発しないよう母斑細胞母斑を根こそぎ取り除けますし、レーザーと違って傷口を縫い合わせて引き寄せることができるので、へこみの目立たない、より自然な施術跡に仕上げやすいです。

あえて一度に取らない方法を採用する場合もあります。かなり大きいほくろになると、ほくろを除去した後のへこみが大きすぎて、へこみが元に戻らないリスクがあるため、皮膚への負担がいっときに集中しないように、ほくろの除去を複数回に分けて実施するのです。

どのような除去方法にするかはほくろの状態と医師の判断によるため、まずはご相談からスタートすることになります。

盛り上がったほくろの取り方は?

盛り上がりのあるほくろの場合 スーパーパルス・レーザーはホクロ盛り上がり部分を削り取っ、平らにする治療です。 多くの場合、この処置によってホクロの色も消えしまいます。 キズが浅い分、短期間でキズ痕は目立たなくなります。 手術は深い部分のホクロの細胞まで残さず取り除く処置です。

ほくろとガンの見分け方は?

ほくろとの見分け方は難しいですが、いびつな形であり、肌との境界がぼんやりしていて、色が不均一で、直径が6mm以上の大きさといった特徴が確認できたらメラノーマである可能性があります。 急激に大きくなったり出血している場合は医療機関を受診してください。

悪性のほくろの特徴は?

皮膚がんの一種である悪性黒色腫は、形や色味にムラがあったり、大きくなるペースが速いといった特徴があります。 日本人は足の裏にほくろができやすいため、悪性黒色腫と間違えて心配される方も多いですが、正円で色味が均一のものは一般的なほくろであることが多いです。

危ないほくろの見分け方は?

危険なほくろの見分け方.
形 まずはほくろの中心に線を引いてみましょう。 ほぼ左右対称なら、通常のほくろです。 ... .
色 また、色にも注目してみましょう。 ... .
大きさ さらに、6ミリ以上のサイズのほくろや、ほくろと皮膚との境界がはっきりしないものもメラノーマの可能性があります。.