生理前に太りやすくなる理由を解説!予防・改善に最適なダイエットは?
生理前は女性ホルモンの影響で体にさまざまな変化が訪れますよね。そんな中、「生理前になると太ってしまう」「生理前になるとダイエットが停滞してしまう」「食欲が抑えられない」といったお悩みを抱える女性は多いのではないでしょうか。そこで今回は、生理前に太る理由や痩せにくい理由、生理周期に合わせた適切なダイエット方法について、栄養管理士の望月理恵子先生に教えていただきました。
健康検定協会理事長、管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。多くの方が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供・監修をしている。「栄養学の◯と×」、「やせる時間に食べてみた!」など著書も多数。
生理前に太る・体重が増えるのは仕方ないこと?
生理前に体重が増えるのは、女性の体のしくみ上ある程度は仕方のないことです。人によっては何もしなくても1〜3キロ程度体重が増えることも。特にむくみやすい人や便秘体質な人、ストレスが多い人は、生理前に太りやすい傾向があります。
生理前に太る・体重が増える理由は?
生理前に太りやすくなるのには理由があります。
女性ホルモン「プロゲステロン」の増加に伴い、体に水分が溜まりやすくなるから
女性ホルモンはプロゲステロンとエストロゲンの2種類あり、生理周期によって分泌量が大きく変わることによって、毎月一定のリズムで排卵と月経を繰り返しています。特にプロゲステロンは生理前に分泌が盛んになります。
妊娠に関係するホルモンであるプロゲステロンが優位になると、体では栄養分や水分を溜め込むため、体重が増加しやすくなります。また、むくみや肌荒れ、イライラなどといった心身の不調も感じやすくなります。
「プロゲステロン」の影響で食欲が増加・エネルギー吸収が高まるから
プロゲステロンは妊娠に関係するホルモンでもあり、プロゲステロンの分泌が増えると妊娠のために栄養分を溜めようと食欲が増加します。また、食べたものを効率よく吸収させるようになります。
くわえて、プロゲステロンによってイライラや不安など精神的不安定になることもあり、食欲のコントロールがうまくできず、食べる量が大きく増えてしまうことがあります。
生理前に体重が増えても元に戻る?
生理前に増加していた食欲も、体のむくみ・だるさも、生理が終わる時期には落ち着いている方が多いかと思います。これは、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が増えてくるからです。それにともない、ホルモンバランスの影響によって増えた体重も自然と戻ってくるのが一般的です。
生理周期に合わせたダイエットのスケジューリング
ダイエットをしている方にとって、生理前の体重増加や痩せにくさは悩みの種かと思います。心身ともに健康的なダイエットをするためには、生理周期に合わせたスケジューリングが大切です。
生理前の体重増加はあまり気にしなくても良い
女性の体のしくみ上、排卵日が終わって生理が始まるまでの期間に完全に体重増加を防ぐのはむずかしいと言えます。ですが、ホルモンバランスの変化による体重増加は生理が終われば戻るもの。神経質になりすぎず、おおらかな気持ちで受け止めることも大事です。
また、この時期の女性の体は太りやすく・痩せにくい状態になっているので、ダイエットをしても効果が出にくい傾向があります。無理にダイエットを続けて思うような結果が出ずにストレスを溜めるより、「今はダイエットには向かない時期」と考え、体を整える時期として、思い切ってダイエット休止期にしてしまった方が良いかもしれませんね。
ダイエットに最適なのは生理後〜排卵日まで
生理の後半(3〜4日目あたりから)〜排卵日(生理が始まった日から約2週間後)までの期間は、体調が安定しているため、最も体重が減りやすい・痩せやすい時期です。ダイエットをしたい方は、生理が終わってからギアを入れると効果が出やすくなります。
生理前の体重増加を予防するには?
「生理前はダイエットには向かない時期」「生理前の体重増加や食欲増加はあまり気にしなくてもいい」とはいえ、生理前の体重増加はできるだけ防ぎたいですよね。そこで、生理前の時期は以下のポイントに留意してみてください。
甘いものや脂っこい食べ物の食べ過ぎには注意
生理前の体重増加は仕方がないこととはいえ、「甘いものや脂っこいものをドカ食いしてしまう」というのは、あまりよくありません。食べるものの内容には気をつけ、できるだけ体に良いものを選びましょう。脂っこいものを食べたい時は、良質な脂質を含んだナッツ類がおすすめです。また、チョコレートを食べるなら、カカオ配合率の高いビタータイプや低糖質タイプを選ぶようにすると良いでしょう。
食事の量は変えずに食事回数を増やす
食べすぎてしまう方は、食事の量は変えずに食事回数を増やすのも一つの手です。食事回数を増やすことで空腹を感じる時間を減らし、食べ過ぎを防ぎやすくなります。
また、どうしても食欲が抑えられないときには、無糖ヨーグルトやキシリトールの飴やガム・無糖の炭酸水などを食べて空腹を満たしましょう。
いつも以上に睡眠をしっかりとる
睡眠をしっかりとることも大事です。睡眠不足は食欲を増進させるホルモンの分泌を活性化させると言われています。生理前は特に精神的なストレスや気分の落ち込みを感じやすい時期で、眠りも浅くなりがちです。普段以上に睡眠を重視し、体と心をリラックスさせましょう。
ストレッチや軽い運動を
体と心をリラックスさせるという意味では、軽いストレッチや運動を取り入れるのも良いでしょう。ゆったりした気持ちで体に負荷をかけすぎずに行えるヨガなどがおすすめです。生理前に起きがちな下半身の重だるさやむくみの改善にもつながります。
婦人科に相談してみるのも手
1回の生理だけでなく、毎回の生理で食欲が増すことが続いて、1ヶ月に2kg以上ずつ増えて体重が戻らない場合は、婦人科で相談しましょう。「多嚢胞性卵巣症候群」「甲状腺機能低下症」など、何らかの病気の影響で体重が増え続けている可能性があります。また、体重の変化がなくても、食欲があまりにもひどいと心配な方も、念のため婦人科で相談してみてもよいかもしれません。原因を特定できる、または自分に合ったダイエットについて専門家の視点からアドバイスを受けることができます。
まとめ
生理前のドカ食いや体重増加は、ある程度は仕方ないもの。あまり自分に厳しくしすぎると、ストレスが溜まって良くありません。「生理前は女性の体のしくみ上、多少太るのは仕方ない」「生理が終わったらダイエットを再開すればいいか」と気持ちを切り替えて、体を労ってゆったりした気持ちで過ごしてくださいね。
管理栄養士 望月理恵子HOME > 院長コラム > 肥満と月経不順との密接な関連
院長コラム
肥満と月経不順との密接な関連
2018.02.14
前回は女性アスリートの低体重と無月経についてお話しましたが、今回は肥満と月経不順についてお話致します。
肥満と無排卵
肥満(BMI:体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)が25以上)の場合、卵胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)はあまり低下しませんが、排卵しにくくなることで月経異常になるケースが多い傾向にあります。
特に、短期間(3~6ヶ月)に体重が増加(原体重の15~20%以上)すると、稀発月経(月経周期が35日以上)や無月経(月経が約3ヶ月以上ない)になりやすいといわれています。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?
肥満で月経異常を来たしている方で注意が必要な疾患に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)があります。生殖年齢女性の5~8%に発症し、肥満のほか、多毛を伴うことがあります。排卵障害のため無月経になることが多いですが、エストロゲンは保たれていることが一般的です。
診断には各種血液検査や超音波検査が必要になります。超音波検査の所見として、両側卵巣に多数の小さな卵胞(卵子が入っている袋)が認められるのが特徴です。
また、肥満を伴うPCOSの場合、糖尿病を合併している可能性もあるため、糖代謝の精査をする事があります。
対策は?
肥満に伴う月経異常に対して、まず優先すべきは肥満に対する対応です。食事や運動などを通じてライフスタイルの改善を図る必要があります。肥満の改善だけで排卵が順調に認められ、月経周期も回復すること事も多く、目安として、2~6か月で5~10%の体重減少を目指します。
もし糖尿病も合併している場合には、内科医や栄養士の栄養指導を受け、必要があれば糖尿病薬などの薬物療法を行う場合もあります。
薬物治療は?
以上のような肥満への対応を進めながら、月経異常・排卵障害に対する治療も平行して行う事もあります。
すぐに妊娠を希望する場合には排卵を促す薬物療法が主体となります。
まだ妊娠を希望しない場合には、黄体ホルモン製剤を周期的に服用することで月経周期を整え、数ヶ月ごとに休薬期間を置いて、自然な排卵を期待する治療が一般的です。
やせすぎても、太りすぎても月経トラブルをきたします。
適切な運動習慣や食生活を継続し、BMIを18.5~25.0でキープしましょう。