24時間営業を自主的にやめたコンビニエンスストア・セブンイレブンの加盟店の元オーナーが契約を解除され、その正当性が争われた裁判。 6月23日午後、大阪地方裁判所は、セブンイレブン加盟店の元オーナーの「契約解除」は有効とする判決を言い渡しました。 事の発端は3年前。 すると本部側は、松本さんとの契約を解除。 この契約解除を巡って、双方が裁判で争うことになりました。 裁判の中で本部側は、松本さんの異常な顧客対応を証明するため、動画を証拠として提出。 これに対し松本さんは「マナーの悪い客へ対応したにすぎない」「契約解除は時短営業したことに対する仕返しで、顧客対応が原因ではない」と主張してきました。 裁判が続く中、去年5月、本部側は予想外の対応をとります。 【セブン&アイホールディングス 広報担当 中田智史さん】 松本さんがもともと営業していた店舗の隣に本部直営の仮設店舗を建て、営業を始めたのです。 この一連の騒動をきっかけに、コンビニの24時間営業という労働環境が注目され、公正取引委員会は「加盟店に対する24時間営業の強制は優越的地位の乱用に当たる可能性がある」という見解を示しました。 22日、本部直営の仮設店舗を訪ねてみると、近隣住民など多くの人が利用していました。 【利用客は…】 一方、松本さんが経営していた店舗は、契約解除によって仕入れができなくなったため、今は休業しています。 【松本さん】 そして迎えた、23日の判決。 【松本さん】 松本さんは控訴する方針です。 (関西テレビ「報道ランナー」2022年6月23日放送) NIPPON 7min2021.6.1 米紙も驚愕! セブン-イレブンと“時短営業”オーナーの「仁義なき戦い」契約解除をめぐる訴訟が続くセブンイレブン店舗の目と鼻の先に、新店舗が建設された Text by Ben Dooley and Hisako Ueno 東大阪にあるセブン-イレブンのフランチャイズ店で、24時間営業を拒んだオーナーが契約解除を通告されたのは2019年末のこと。その後、法廷闘争に発展したセブン本部と元オーナーの対立について、セブン側による“えげつない”圧力を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」まで驚きをもって詳報している。 「出る杭は打たれる」の見せしめか日本では、どの街角にもセブン-イレブンがあるように思われる。しかし、大阪郊外の労働者が多く暮らす街の一角には今、セブン-イレブンの店舗が2軒、隣同士で並んでいる。 この異様な光景は、日本で最も影響力のある企業の一つと、おそらく日本で最も頑固な男の一人が繰り広げている因縁の戦いの現状を物語っている。 2軒並ぶうちの一方の店舗のオーナーだった松本実敏は、2019年に営業時間の短縮を敢行した後、セブン-イレブン本部からフランチャイズチェーン契約を解除された。松本と本部は店舗の明け渡しなどをめぐって法廷で争っており、彼の店舗は1年以上、休業したままだ。 事態に耐えかね、終わりも見えないことから、本部は急場しのぎの策に出た。松本が経営していた店舗の駐車場だった場所に、新たな店舗を建設したのだ。 この争いの行方は、アスファルトとコンクリートの小さな一角でどちらがおにぎりやたばこを販売するかだけではない。全国の数万ものフランチャイズ店に対するセブン-イレブン本部の権限にも大きな影響を与える可能性がある。 2019年末までオーナーを務めていた店舗(右)とその真横にセブン本部が建てた新店舗の間に立つ松本 両者の対立のなかで、セブン-イレブン本部は松本に対して驚くような措置を講じてきた。私立調査員のチームを雇って松本の店舗を何ヵ月も監視し、松本が客に頭突きをしたり客の車に飛び蹴りをしたりしている様子だと同社が主張する、画質の粗い映像も用意した。 また、店舗のオープン記念のマヨネーズを提供しなかったなど、松本に対する客からのクレームをまとめた資料も作成。さらに本部は、松本の元店舗の隣に建てた新店舗の建設費を彼に請求する計画だという。 本部はこうした措置を取った理由について、松本が加盟店主としてふさわしくなかったためと説明している。だが松本は、24時間営業という本部の厳しい要求に従わないと告げた途端に自分に対する本部の評価が急激に下がったのは偶然ではないと主張する。 たしかに、この些細にも思える反抗を松本がする前は、本部は彼を模範的なオーナーとして評価していた。豚まんの売り上げが地域でトップになった時など、幾度も称賛された。 ところが、松本が深夜の休業を決断すると、本部は彼の店の営業を脅かし、最終的には商品配送を止め、店舗の明け渡しを求めて訴訟を起こした。こうした措置を通して本部は他の加盟店にメッセージを送っていると松本は言う。「出る杭は打たれる」と。 裁判の勝敗が日本のコンビニ業界を揺るがす大阪の裁判所で繰り広げられているこの争いは、セブン-イレブン本部だけでなく、他のコンビニチェーン大手にも影響を与えるだろう。日本には現在、コンビニが5万店舗以上あり、その大半がこうした大手に支配されている。 セブン-イレブンはそのうちの40%近くを占め、そのビジネス手法は良くも悪くも業界標準とみなされてきた。 武蔵大学経済学部の土屋直樹教授は、「この裁判の結果は非常に大きな影響を与えるでしょう」と話す。「敗訴すれば本部にとってかなりの痛手」となるが、勝訴すれば「パワーバランスが加盟店から本部に移る」と土屋は指摘する。 松本は、2012年の建設時から2019年末まで店舗を経営していた。近隣に大きな私立大学があり、交通量の多い通りに位置するその店舗は、もう1年4ヵ月もシャッターを下ろしたままだ。店内はかび臭く、暗く、ほこりがかぶっている。 その隣に建てられた新店舗は、松本の元店舗より規模が小さい。セブン-イレブン本部によると、住民から空き店舗の安全上の問題について意見が寄せられ、地域のために作ったという。災害時の仮設住宅のような外観で、完成後は本部直営で、24時間営業する。 便利さと引きかえの過重労働残り: 2950文字 / 全文 : 4963文字 lockこの記事は会員限定です。 会員登録(無料)すると 続きをお読みいただけます。 プレミアム会員の「5つの特典」 海外がよくわかる記事・動画・書籍・イベントで 世界の話題が、もっと身近になる! done海外メディアの「翻訳記事」が読み放題 done人気の著者による「連載」が読み放題 done短時間で理解が深まる「教養動画」が見放題 done著名人が薦める「5冊の名著」が毎月読める done編集部主催の「イベント」に無料ご招待
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