年金だけ では 暮らせない 当たり前

年金だけ では 暮らせない 当たり前

年金暮らしのご夫婦が95歳まで生きた場合、月約5万円で総額2000万円という金額が老後に不足するという数字が、「国民の不安をあおる」と毎日メディアで取り上げられています。

  ただ、私たち専門家にとっては、もはや年金だけでは生活できないということは常識です。要は、あくまでも選択肢の一つとして、老後のことを考えようということなのです。人生100年時代、情報に踊らされず正確な知識を持ちたいものです。

 

年金だけ では 暮らせない 当たり前

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

目次

  • 1 老後に公的年金だけでは暮らせないワケ
  • 2 老後にいくら必要か、正確な金額なんてわからなくても当たり前
  • 3 2000万円が無理でも構わない

老後に公的年金だけでは暮らせないワケ

金融庁の金融審議会の報告資料が波紋を広げています。

  財務大臣の「報告を受け取らない」「自分が年金を受け取っているかわからない」などの答弁に象徴される政府の対応には、家計相談を請け負うFP(ファイナンシャルプランナー)として、また年金の専門家である社会保険労務士としても、首をかしげるばかりです。

  年金は「100年安心な制度」と言われたとしても、年金だけで生活できる金額を保証しているというわけではないのです。公的年金の仕組みは、何度も申し上げていることですが、そもそも若い世代が年金受給世代を支える仕組みです。

  急激に少子高齢化が進む現状で若い世代が増えるかというと、共働き家庭が当たり前のようになってきているとはいえ、働く女性が子育てをするには周囲の理解と援助が必要ですから、増えないと思った方がいいでしょう。

  すでに幼稚園と保育園の無償化や高等教育の給付が政策として決定していますが、それが二人目の出産への意欲に効果があるかどうかは少し様子を見る必要があります。

  実際に、3人の子育て中の筆者の私見ですが、保育園がたとえ一時的に無償になったとしても子育てはそこで終わるわけではありません。その後の方がずっと長期戦なのです。補助などの支援も長期を見越していただかなければ安心とは思えません。

老後にいくら必要か、正確な金額なんてわからなくても当たり前

SOMPOホールディングスから、今年1月に実施した『人生100年時代の「働き方」に関する意識調査』のデータがリリースされています。男女約1100名以上のモニターの方からの回答ですが、その傾向がわかりますのでご紹介しましょう。

  「あなたは、将来の自分の生活において、どの程度お金が必要か計算したことがありますか?」という設問をされて、「考えたことがない」と回答した方が32%、「計算してみたいが、やり方がわからない」が32%、「わからない」8%、「必要がないため、計算していない」3%と、約75%の方が、自分の老後にいくらぐらい必要なのか把握していないという結果となっています。

  この結果は、普通の方の一般常識でしょう。FPはお客様の老後資金を計算することがよくあるのですが、依頼された条件で計算すると、途中で貯蓄が底をつくという場合は珍しくありません。

  むしろ、計算していて、どんな条件になったとしても「絶対安心」という方にお目にかかるのはとても稀なことと言えるでしょう。

2000万円が無理でも構わない

国民年金は、原則として20歳から60歳まで国民年金の保険料1万6410円を支払って、年金78万100円を一生涯受け取る制度です(いずれも2019年度価格)。加入形態によって、その国民年金に厚生年金や企業年金が上乗せされるというわけです。

  では、例えば2000万円を夫婦二人が40年間で貯めていくことを考えてみましょう。ご夫婦二人が働くと、それぞれが積み立てていく金額は月に約2万円。ただ、40年間、定期的にこの金額を貯蓄する必要があるかというと、そう考える必要はありません。

  会社からボーナスが支給され、2万円以上貯蓄できる期間もあるでしょうし、70歳までご夫婦で働くとなると、勤労収入があることで、月々の不足分5万円、総額600万円分(60歳から70歳までの10年間)が不要となります。

  FPがお客様のために作成するのは、手取りから支出を引き、手元のキャッシュがどう変化するのかを計算するキャッシュフロー表です。

  筆者の場合、100歳までは必ず計算します。ここまで計算するのとよく驚かれますが、これは不安をあおるためではありません。「気付き」をしていただくためなのです。

  途中で赤字が出れば、外食を控えよう、旅行の回数を減らそう、保険の加入を見直そう、住宅取得資金を少し抑えよう、車の購入時期をずらそう、年金を繰り下げよう、などいくつかの選択肢を試す期間を長く取ることが可能となります。

  選択肢を試していくと、当然キャッシュフロー表は随時変更されます。2000万円をとりあえずの目標とし、自分ができるいくつかの選択肢を試しながら、長期で老後資金を準備することをしていくだけで、かなり老後の不安をなくすことができます。

  老後が実感できない若い時には、「年金なんて信用できない」、「自分で貯めていた方がよっぽどいい」と言いながら、いざ年金を受け取れる60代になって、何とか少しでも年金が受け取れないかという相談者もたくさん見てきました。

  2000万円という金額はあくまでもモデルケースです。人は家族構成も違えば環境も全く異なります。最近、よく起こっているのは、全体をよく見ず一部のワードが切り取られて誤解が生じるという現象です。

  今回の問題となった報告書も51ページにわたる大作ですが、メディアは全ての情報を伝えてくれたわけではありません。一つの情報に踊らされず、自分なりの人生、自分なりの目標金額を立てましょう。

  出典
SOMPOホールディングス「人生100年時代の「働き方」に関する意識調査」

  執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

厚生労働省の調査(平成29年「年金制度基礎調査」)によると、65歳以上で年金をもらっている人のうち、56.8%の人は「年金以外の収入がない」とのことです。

やはり、老後の収入源は公的年金が中心になることがわかります。

もらえる公的年金が少ない場合は、当然として生活が困窮します。今回は、少ない年金で暮らす方法と、それでも生活が厳しい場合の対策を紹介します。

目次

  • 1 年金生活の現実
    • 1.1 国民年金のみでは老後は厳しい
    • 1.2 国民年金の受給額は月7万円程度
  • 2 老後、年金だけで生活する方法
    • 2.1 年金7万では生活できない?
    • 2.2 少しでも収入を増やすには
  • 3 年金だけで生活できない場合
    • 3.1 年金少ない場合の最終手段「生活保護」
    • 3.2 自宅不動産を持っているならリースバックという手段も

年金生活の現実

まずは、老後の年金生活の実態をみていきましょう。

国民年金のみでは老後は厳しい

日本の年金制度は「二階建て」に例えられます。20歳以上になるとすべての人が加入する「国民年金」と、会社員・公務員の人が加入する「厚生年金」の2段階で成り立っているからです。(以前は、公務員には共済年金という別の制度がありましたが、現在は厚生年金に統合されています。)

そして、高齢になると老齢給付として、それぞれの年金制度に加入していた期間に応じて年金を受け取ることができます。このとき、国民年金からは「老齢基礎年金」、厚生年金からは「老齢厚生年金」を受け取ることができます。

つまり、多くの人は、国民年金と厚生年金を合わせた金額の年金を受け取っています。

しかし、ずっと自営業であったり専業主婦であったりした人は、厚生年金の加入期間がないため、国民年金からの年金しか受け取れない場合があります。また、厚生年金は、たとえ1ヵ月でも加入していれば受け取りの資格があります(※ただし、国民年金の受給資格を得ていることなどの諸条件あり)が、加入期間に応じて額が変わるため、会社員として勤務した期間が短ければ受け取れる額は少なくなります。

このように、国民年金と厚生年金の両方を受け取る人が多数派ではありますが、国民年金だけで生活していたり、厚生年金を受け取っていたとしても額が十分でなかったりして、老後生活に不安を持っている人も多いのです。

国民年金の受給額は月7万円程度

では、公的年金は、具体的にはどれくらい受け取れるのでしょうか。

国民年金から給付される老齢基礎年金は、基本は定額です。2020年12月現在の水準では、年額「約78万円」となっています。

月あたり約6万5,000円です。

ただし、年金保険料を払っていなかったり、減免されたりしていた期間があると、そのぶん、少なくなります。また、未納期間が多くて、納付済期間が10年未満になってしまうと、受給資格を得られず、年金が受け取れないこともあります。

一方で、厚生年金から給付される老齢厚生年金は、加入期間と、加入中の収入額によって異なります。

厳密な計算方法は非常に複雑ですが、目安として概算すると、22歳から60歳までの38年間、会社員として勤務し、この間の収入が月額30万円だったとすると、受け取れる給付額は、老齢基礎年金と合わせて年額170万円程度です。

月あたり約14万円です。

ただし、扶養している配偶者がいる間などは、給付額が上乗せされる仕組みもあります。正確な額を知りたい場合は、ねんきん定期便や、ねんきんネットで調べることができます。

老後、年金だけで生活する方法

先述のように老後の収入は公的年金が中心です。しかし、年金だけの収入で生活していくことはできるのでしょうか?

年金7万では生活できない?

総務省の調査(「家計調査年報(家計収支編)」2019年)によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の消費支出は月あたり平均23万9,947円です。消費支出とは、税金や社会保険料を含まない支出のことで、一般的に「生活費」にあたるものです。

毎月24万円程度の支出だとすると、年金が国民年金だけの月7万円程度ではかなり厳しいといえます。厚生年金があったとしても、額によっては赤字になってしまい、現役時代の貯蓄を取り崩していくしかありません。

厚生労働省が発表している簡易生命表(令和元年版)によれば、65歳の平均余命は男性19.83歳、女性24.63歳です。65歳で年金生活に入った人は、その後、20~25年間の生活のことを考えなくてはなりません。その間、赤字でも家計が破綻しないだけの貯蓄を用意しておくことができるでしょうか?

しかも、年金額は減少傾向にあるなか、平均余命は徐々に延びており、「人生100年時代」といわれるようになっています。ますます、問題が深刻化していることがわかります。

少しでも収入を増やすには

年金だけで生活していくのが難しい場合、できることは、生活費を切り詰めるなどして支出を減らすか、どうにかして収入を増やすしかありません。

できることなら、老後はゆったりと、節約など気にせず暮らしたいものです。

収入を増やすには、以下のような方法が考えられます。

  1. 年金額を増やす
  2. 公的年金以外の収入源を持つ

1つ目の、年金額を増やす方法にはどんなものがあるでしょうか。

まず、国民年金の減免期間や未納期間がある場合、追納をすることで、年金額を満額に近づけることができます。ただし、追納できる期間には限りがあるので要注意です。

また、2020年現在は、65歳から公的年金を受け取り始めるのが一般的ですが、最長で70歳まで繰り下げることで、繰り下げた期間に応じて年金額が上昇する仕組みもあります。さらに、自営業者の人には、付加年金や国民年金基金といった、年金保険料を上乗せして支払うことで、年金額を増加させる制度もあります。

2つ目の、公的年金以外の収入源を持つ方法は、働いて収入を得るというのもひとつの方法です。また、私的年金を準備しておく方法もあります。私的年金とは、公的年金とは別の制度や、民間の金融商品などを利用して、自分で用意する年金のことで、以下のようなものがあります。

  • 財形年金貯蓄
  • 確定拠出年金(iDeCo)
  • 小規模企業共済
  • その他企業年金
  • 個人年金保険
  • 変額年金

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年金だけで生活できない場合

年金だけで生活することができない場合には、どのような選択肢があるのでしょうか。

年金少ない場合の最終手段「生活保護」

年金額を増やす方法をいくつかお伝えしましたが、いずれも、若いうちから準備をしておかなくてはならないものです。また、掛け金なども必要なので、以下のような場合は難しいです。

  • 収入が少なく、準備ができなかった
  • 年金を受給する年齢が間近

そうなると、いよいよ年金だけでは暮らしていけないことになります。

その場合、最後のセーフティーネットとしての、生活保護に頼らざるをえません。

生活保護は、「法律で定められた最低生活費に満たない収入しかない人が、どうやってもそれ以上の収入を得られないときに、最低生活費に満たないぶんを支給してもらう」という社会福祉の制度です。ここでいう最低生活費の額は、住んでいる地域と年齢にもよりますが、年金生活者の年代であれば、おおむね3~4万円でしょう。

年金収入だけの人も、その収入が最低生活費に満たなければ、生活保護の対象になります。利用するには地域の福祉事務所に相談します。

ただし、資産を持つ人はそれを売却するなどしてお金をつくるように促されます。生活保護はあくまでも「最後の手段」と位置づけられているからです。

そのため、自宅が持ち家という人は、マイホームを手放してからでないと生活保護は受けられない可能性が高いでしょう。

自宅不動産を持っているならリースバックという手段も

持ち家があるなら、他の方法を模索できます。それがリースバックです。

リースバックとは、所有する不動産を売却し、その後、買い手との間で賃貸契約を結んで、売却した不動産を賃貸するというものです。

単純に自宅不動産を売却すると、当然ながら、その家からは退去しなくてはなりません。それに対してリースバックでは、家の所有権は買い手に移りますが、自分自身は賃貸という形で、同じ家にそのまま住み続けることができます

生活保護を受けようとすると、自宅を売却してお金に変えて、まずはそのお金で生活し、それでも困った場合に生活保護を受けます。つまり、自宅を売って手放して、どこか別の賃貸に住まなくてはなりません。

リースバックなら、自宅を売却してお金を得ることは同じですが、住むのはもとの家です。家を売却して、まとまった資金を手に入れながら、生活環境を変えなくてもいいという大きなメリットがあります。家を売却したことは外部からわからないため、生活が苦しいことをご近所に知られたりしないのもメリットといえるでしょう。

リースバックは複数社との相談が重要

リースバックはさまざまな会社が提供していて、利用の条件やサービス内容に違いがあります。そのため、リースバックは1社だけでなく、複数の会社と相談することが大切です。各リースバック会社の違いを比較して、求めるサービスを提供する会社と契約しましょう。

「リースバック比較PRO」は複数のリースバック会社に簡単に問い合わせられるサービスです。自宅の情報や連絡先などを入力するだけで、複数のリースバック会社に一括問い合わせができます。

リースバックに興味のある方は、まずリースバック会社に相談してみましょう。

年金だけでは暮らせない どうする?

国民年金や、厚生年金のような公的年金だけでは老後が心配という方は、公的年金に上乗せする形で年金が受け取れる私的年金制度に加入しましょう。 自営業・フリーランスの方であれば、国民年金に加え、保険料を支払う国民年金基金や付加年金への加入で年金額を増やせます。

年金 足りない どうする?

老後資金はいくら必要で、年金はどれくらい足りないの?.
① 貯蓄と退職金を利用する.
② 個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する.
③ 個人年金保険に加入する.
④ 積立投資信託をはじめる.

年金いくらで生活保護?

最低生活費から年金収入を差し引いた差額分を、もらうことができます。 例えば最低生活費が13万円で年金収入が8万円の人が受給できる生活保護費は、差し引いた差額分である5万円になります。

年金はいくらもらえるのか?

会社員の老齢年金は平均で月額14万6,162円 厚生労働省の「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員など厚生年金に加入している人の支給額は平均で月額14万6,162円です。 この金額には、老齢基礎年金も含まれています。 厚生年金に加入したことのない自営業者は、老齢基礎年金しかもらえません。